友利新「なんくるないさの精神で、妊活を楽しみましょう」 〜Dr.友利のなんくるないさ Vol.5〜

2014年7月に第1子となる男児を出産し、2016年の8月末に第2子を出産予定という友利新さんですが、実は30歳を過ぎるまでは、妊娠・出産についてまともに向き合ったことがなかったそうです。36歳で出産を迎えるまでには、紆余曲折があり、「なんくるないさ」(沖縄方言で、なんとかなるさ)の精神で乗り越えてきた友利さんに、妊娠・出産や子育て、家族の絆などについて語っていただきました。

第5回目となる今回は、何かとストレスを感じてしまう妊娠・出産期をどう乗り越えるのがいいのかといったアドバイスです。

ストレスは妊活の最大の敵

私自身の経験からしても、妊活の大敵はストレスだと思います。そういう意味では、夫の協力というのは、不可欠だと思います。
最初の妊活中に、主人が思い詰めた感じになることは一度もなかったですし、「まだなの?」って聞いてくるようなこともありませんでした。

それどころか、生理が来る度に「まあ、いいじゃん。また次、頑張ればいいよ」とか、「別に子どもはマストじゃないからね」などと、常に言ってくれていたのです。

だからこそ、私も「まあいっか。また頑張ろう」と思えたし、それが夫婦のコンセンサスとなっていったのが良かったのではないかと思います。

また、私は35歳で今の主人と結婚したのですが、夫の両親からも急かされたことは一度もありません。それどころか、「できなかったら、できなかったでいいのよ。お仕事も忙しいし、新さんは一生懸命、頑張っているんだから」という、軽い感じで接してくださいました。

本心ではどう思ってらっしゃったのかわかりませんが、そうやってこちらにプレッシャーを与えないように心配りをしてくださったので、気分的に楽になれたというのもあったと思います。

もし、義理の父母から「まだなの?」とか、「ちょっと仕事を抑えたら?」などと言われていたら、それが大きなストレスになってしまっていたのではないかと思いますね。

沖縄では、悪気があるわけでもなく、良かれと思ってのことですが、「子どもはまだなの? もっと頑張りなさい!」などと、言われます(笑)。それが当たり前の文化としてあるから仕方ないのかもしれませんが、妊活で頑張っている時に言われると、やはり、イライラしてしまうものですよね。

とはいえ、そう言われたときに、自分がどういう立場にいるのかといったことはなかなか言えないですし、「ただ今、妊活中です!」と札を付けて歩くわけにもいきません。

やはり、その人、それぞれの置かれている状況があるので、周囲の人も無理やり聞くようなことは避けた方がいいと思います。

また、聞かれる側のほうも、もし、ズケズケと聞かれたとしても気にしすぎないことが大事ですよね。あまり身構えるのではなく、聞かれたら、答えるくらいの感覚でいるのがちょうどいいのではないでしょうか。これは、さんざん、聞かれ続けてきた私の経験談ですけどね(笑)。

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運命だったと受け入れようとする準備をする

私は最初に妊娠反応が出たとき、主人に「反応は出たけれども、正直、これはまだ着床しているかどうかはわからない」と、冷静に伝えました。

そして、着床していることが確定してからでないと育つかどうかもまだわからないし、そもそも、約30%の確率で流産があるといったことも淡々と話しておきました。

ドラマなどでは、2人で大喜びといったシーンをよく見かけますが、私は医者です。職業柄、いろいろと知っているので、あくまでも最悪のことも想定しながら、敢えてぬか喜びはしないように慎重に伝えるようと努めました。

すでに出産を経験している友だちなどに聞いてみても、実は、第1子の出産前に流産を経験したことがあるといった話は、珍しくないのです。

それだけ、よくあることであって、なかには、うまく着床しなかったショックが原因で、パニック障害になってしまい、次の妊活までに時間がかかってしまったという人もいます。

それだけに、うまく着床しなかったとか、流産の可能性は30%前後の確率であるものだということを認識しておく。もし、そうなったとしても、それは誰も悪くはないし、運命だったのだと受け入れようとする準備だけはしておいたほうがいいと、私は思います。

ただ、流産を恐れるあまり、極端に安静にしようと務めるとか、仕事を極端に控えるということをしてしまうと、逆にストレスが溜まってしまい、育つものも育たなくなるのではないか、とも思います。

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なんくるないさの精神で、今を楽しむことが大事

やはり、妊娠検査薬で反応があったら、心配しすぎないようにするのが大事だと、私は思います。心配しすぎてしまうと、それがストレスになってしまうのです。

何としても子どもを授かりたいと祈ろうが、泣きわめこうが、そうなる運命と言いますか、やはり、先のことは神様にしかわからないものだとしか、言えません。

医者として、こんなことを言ってしまうのはよくないことだとは思いますけれど、やっぱり、医者も神様ではないのですから……。

生殖医療だって、今ではかなりの進歩を遂げていて、多くの人が不妊治療に通っています。医者は少しでも可能性を高めるために努力はしますが、当然、それでも100%成功するわけではありません。それだけ医者に細心の注意を払ってもらって経過をみてもらったとしても、難しいのです。

そう考えると、自然な妊娠・出産というのは、さらに遙かに上を行く難易度なのですから、もはや、これは“奇跡”なんだとしか言いようがないものではないでしょうか。

だからこそ、私は「なんくるないさ」が必要なんだと実感しています。沖縄の方言で、「なんとかなるでしょう」という意味なのですが、私が何をしようが、決まっているモノは決まっているんだと考えたほうがいいのではないかと思うのです。

私はたばこは元々、吸いませんが、妊娠がわかったら、お酒は飲まない、生ものは控えるといったことはやりました。しかし、妊婦になるというのは、別に病気ではないのですから、体調が悪いときには無理をしないで横になって休んだりということはしたほうがいいのですが、元気なときは、むしろ普通にお仕事もして、「なんくるないさ」と思って出産までの時を過ごしました。

それは、第2子出産を控える今も、同じ感覚でいます。

今、思い返せば、第1子の妊娠期間中は、とても楽しかったですね。だって、わが子とずっと一緒にいるじゃないですか。もちろん、順調に出産を迎えられるのかという不安は常にありましたが、なんくるないさ、と思っていれば、すごくアクティブな日々を過ごせるようになりました。

みなさんもぜひ、あれやこれやと不安になってばかりでストレスを抱えるのではなく、なるようになるさと、少しでも気楽に構えて、出産を迎えるまでのかけがえのない“今”を楽しんでいただきたいと思います!

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この記事のキュレーター

医師・友利新(ともり あらた)。1978年沖縄県宮古島市生まれ。東京女子医科大学卒業後、同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内2か所のクリニックに勤務する傍ら、医師という立場から美容と健康を医療の観点から追求し、ベビー用スキンケア用品の開発プロデュースも手掛けている。2004年第36回準ミス日本の経歴も持つ。2014年、妊婦の疑問に関して、自身の経験も交えてエッセイ風に回答した『Dr.友利の美人科へようこそ マタニティ外来編 妊娠・出産Q&A64』(講談社)を上梓。オフィシャルブログ「ビューティー診療室」

http://ameblo.jp/arata1107/


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