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膣の入口付近にしこりができる「バルトリン腺嚢腫」の基礎知識
女性器は複雑な形になっており、皮膚が薄く、下着で蒸れやすいため、不快な症状が起こりやすい個所です。デリケートゾーンのかゆみや痛みを経験したり、悩んでいたりする女性も多いかもしれません。
今回は、膣の入り口近くにしこりができる「バルトリン腺嚢腫」について詳しく解説します。
分泌腺が詰まったしこり「バルトリン腺嚢胞」
「バルトリン腺」と言われても、あまり聞いたことがなく、ピンと来ない人も多いかもしれません。
バルトリン腺とは、膣の入口から斜め奥にあるエンドウ豆くらいのサイズの分泌腺のこと。
性的に興奮した時に、膣の入り口にある2mmくらいの大きさの管から、潤滑油の働きをする粘液を分泌します。
このバルトリン腺は、通常の状態では触ってもどこにあるかわかりません。しかし、この粘液が排出される管が、なんらかの理由で詰まってしまうと、粘液がたまって水風船のようにふくれ、「しこり」のようなものができます。これを、「バルトリン腺嚢胞」といい、時にはピンポン球くらいに腫れる場合もあります。
バルトリン腺嚢胞が炎症を起こしたら要治療
「バルトリン腺嚢胞」にかかっても、しこりを触れたときに傷みがなければあまり心配いりません。
ただし、注意したいのが、しこりが炎症を起こした「バルトリン腺炎」です。
分泌液を排出する管に細菌が侵入して感染を起こすことで、膣の入り口が赤く腫れたり、うずくような痛みが出てきたりします。
これを放置してしまうと、炎症がどんどん奥に広がっていき、バルトリン腺内でも細菌が繁殖。
内部の分泌液は膿となり、皮膚が真っ赤に腫れ、痛みも強くなります。この状態を「バルトリン腺膿瘍」といい、熱が出ることもあれば、歩いたり座ったりするのが辛くなることもあります。
発熱や激しい痛みがある場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。
バルトリン腺嚢胞は内診で診断可能
バルトリン腺嚢胞が疑われるようなしこりができた場合、自覚症状が出るくらいまでしこりが大きくなっていれば、内診で見たり触ったりするだけで感染の有無を確認することができます。
バルトリン腺炎やバルトリン腺膿瘍となって分泌物が出ているようであれば、何の細菌に感染しているかを調べることもあります。
そのほか、40歳以上の女性がかかった場合や、しこりの形がいびつだったり、でこぼこしていたりする場合、外陰がんと識別するためにしこりを切除して顕微鏡で調べることがあります。
痛みのないバルトリン腺嚢胞は治療の必要なし
バルトリン腺嚢胞があっても、小さくて痛みがないようであれば、治療の必要はありません。
塞がっていた出口が再開すれば、自然治癒することもあります。
何らかの症状が出てきた場合は、原因菌に効く抗生物質と消炎剤の服用を行い、治癒を目指します。
炎症や痛みが強く、バルトリン腺膿瘍の状態となった場合は、外科的な処置が必要になります。
膿が溜まっている場合は、注射器で吸い出すか、切開して絞り出す処置をしてから、抗生物質で細菌を除去します。
これらの処置を行っても再発を繰り返すようであれば、しこりを開いて膿を出し、開口部を作って縫合する「開窓術(造袋術)」という手術を行います。
しこりの内側にたまった膿を排出できるようになるので、腫れや赤み、痛みといった症状がすぐに落ち着くことでしょう。
手術は局所麻酔、日帰りで可能です。
これでも改善しない場合は、バルトリン腺そのものを摘出する「嚢胞摘出術」に至る場合もあります。
バルトリン腺嚢胞の炎症の予防には清潔が一番
バルトリン腺炎やバルトリン腺膿瘍の原因は、大腸菌や連鎖球菌、ブドウ球菌といった一般化膿菌です。
また、性感染症の「淋菌感染症(淋病)」の原因となる、淋菌が感染してしまう場合もあります。
予防には、尿や便の中にいる大腸菌などの細菌から感染を防ぎ、清潔な状態を保つことが必要です。
トイレで排尿または排便してトイレットペーパーを使う時は、前から後ろに向かって拭くようにして、膣周辺に菌がつかないように注意しましょう。
また、感染しにくい環境を普段から作っておくことも大切。
ナプキンやおりものシートを長時間つけていたり、きつい下着を着けていたりすると、デリケートゾーンが蒸れて、感染しやすくなります。
また、寝不足やストレスで免疫力が落ちている時も注意が必要。
普段から、通気性の良いコットン素材などの下着を着けて、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。
ただし、石鹸での洗いすぎは、膣の自浄作用を奪ってしまうことになるので気をつけて。
デリケートゾーン専用のものなら、自浄作用を保つ常在細菌を残して細菌バランスを保ちつつ、清潔にすることが可能です。泡立てて洗う石鹸タイプや、ジェルタイプがあり、低刺激なのに気になる臭いなどを除去してくれます。
そして、セックスをするときは、手やデリケートゾーンをきれいにしておくことも大切です。
膣内が十分に潤ってから挿入を行うことで、細かな傷ができることを防ぎ、感染の予防にもなります。パートナーにも注意してもらうようにしましょう。

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