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卵管炎と骨盤腹膜炎の基礎知識

卵管は膣を通して外の世界とつながっているので、ちょっとしたことで細菌に感染しやすい部分です。
卵管炎にかかると、炎症が広がって骨盤腹膜炎になることがあり、すぐに治療することが大切。
重症化すると、子宮全摘出という事態にもなりかねません。卵管炎や骨盤腹膜炎の症状や予防法、治療法についてまとめました。

■卵管炎を発症すると骨盤腹膜炎にも

卵管は、子宮から左右に伸びている細い管状の臓器で、卵管の先には卵巣があります。妊娠するためには、卵巣から排出された受精卵が卵管を通り、子宮まで運ばれたのち、子宮内膜に着床することが必要です。

卵管や卵巣をまとめて子宮付属器といいます。この子宮付属器に起こる炎症が子宮付属器炎です。それぞれ、卵管にできたものを卵管炎、卵巣にできたものを卵巣炎と呼びます。通常、卵管炎が起こると、その卵管がある側の卵巣にも炎症が及ぶので、卵巣炎も併発します。さらに炎症が進み、付属器のまわりの骨盤腹膜内に広がると骨盤腹膜炎となります。

■卵管は炎症が起きやすい部位

卵巣や卵管は、膣を通して外の世界とつながっているため、そこから病原菌が入りやすい部位。子宮内の免疫力が落ちた時や、外からたくさんの病原体が侵入してきた時に、卵管炎を起こします。原因は、大腸菌やブドウ球菌などの一般細菌のほか、クラミジアや淋菌といった性感染症の病原微生物によるものも増えています。なかには、何年も前にかかったクラミジアが原因で、卵管炎を起こしたという人もいます。クラミジアや淋菌感染症(淋病)などの感染症にかかった場合は、症状が出ていなくても菌が潜伏している場合があります。

これらの細菌には、性感染症にかかっている人との性行為や不衛生な環境下での性行為のほか、タンポンや子宮内避妊リングの長時間の使用、人工妊娠中絶や流産・出産時に膣で感染します。それが、膣炎、子宮頚管炎、子宮内膜炎と炎症の範囲が広がって、付属器の卵巣や卵管、骨盤腹膜にまで炎症が起こるのです。このように、膣から上に向かって炎症が広がることを、上行感染といいます。ほとんどがこの上行感染ですが、まれに、結核菌などが、肺や腹膜から血液の流れに乗って運ばれ、卵管に下行感染することも。虫垂炎や腎盂炎でも起こることが知られています。

■卵管炎と骨盤腹膜炎の症状とは?

下腹の痛みと、38度を超える発熱が卵管炎の主な症状です。下腹部を押して離す時に強い痛みを感じます。気分が悪くなって、嘔吐する場合も。また、膣から出血したり、膿のようなおりものが出たりすることもあります。慢性化した場合、熱は下がりますが、月経痛や腹痛、腰痛、排便痛といった辛い症状が続きます。

骨盤腹膜炎の場合も、卵管炎と同じような症状が現れますが、炎症が全体に広がっているので下腹部全体の持続的な痛みが起こります。人によっては、歩くだけでも痛みがお腹に響く場合も。また、慢性的な骨盤腹膜炎になると、骨盤内の臓器が癒着を起こし、下腹部痛はもちろん、腹部の張りや便秘、下痢なども現れます。周辺の臓器が癒着し、卵管が狭くなったり、ふさがってしまったりすると、不妊の原因に。また、卵管に膿がたまる卵管留嚢腫、水がたまる卵管留水腫なども起こります。

■卵管炎や骨盤腹膜炎はいち早く治療が鉄則

卵管炎や骨盤腹膜炎の疑いで病院を受診すると、まず内診と検査が行われます。内診では子宮や付属器に圧をかけた時に痛みを感じるかどうかをチェック。同時に血液検査を行い、白血球増多や炎症を示す「CRP」が陽性になると、卵管炎や骨盤腹膜炎と診断されます。

どちらの病気も薬による治療をすぐに開始することが大切です。軽症の卵管炎の場合は、抗生物質と消炎剤を使います。治療中は医師の指示に従い、安静に。性行為や入浴も治療の妨げになる場合があるので、医師と相談しましょう。中等症以上の場合は、入院して安静にし、抗生剤を点滴するなど、強力な治療が必要。卵管留嚢腫などを起こしている場合は、炎症がおさまってから、外科手術を行います。

●重症化すると子宮全摘することも

手術の方法は、細いチューブを患部まで入れて溜まった膿を出すだけのものから、卵管や卵巣を切除するものまで、さまざま。かなり症状が重い場合には、手術によって子宮を全摘するという場合もあります。年齢、妊娠や出産の希望、そのほかの持病などと照らし合わせて決めます。慢性的な炎症の場合は、痛みを抑える薬や、排便をスムーズにするサプリメントなど、対処療法も行われます。

治療の開始時期が遅れ重症化すると、感染症を起こした部分から血液中に病原体が入り込み、全身に症状を起こす敗血症になることもあります。また、治っても癒着が残ることがあり、不妊や子宮外妊娠を発症することも。卵管性の不妊症では、内視鏡手術で卵管の癒着を取る方法が普及していますが、再び癒着や閉鎖を起こすことがあり、治りにくいのが現状です。初期段階であれば、通院と薬で治すことができるので、将来のためにもいちはやく病院を受診することが重要です。治療後は確認のために一度、子宮卵管造影法や空気や水を通す試験で、卵管がスムーズに通っているか確かめておくといいでしょう。

卵管炎や骨盤腹膜炎は、妊娠・出産を望む女性にとって、慎重に対処したい病気のひとつ。卵管炎を起こすと治癒したあとも、卵管の通りが悪くなり不妊の原因になる場合もあります。子宮外妊娠を起こす引き金にもなるので、とてもやっかいな病気です。卵管で子宮外妊娠した場合、早く処置しないと卵管が破裂して大量出血し、死に至る場合もあります。卵管は骨盤内の臓器のなかでも炎症が起きやすい部位なので、日頃から体調の変化などに注意しておきましょう。

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