不妊にもつながる!?多嚢胞性卵巣症候群の症状は?

多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣内で卵胞が小さいまま成長せず、たくさんできる婦人科系の症状です。排卵しにくくなることから、生理不順や無月経が起こることがあり、不妊にも影響します。この病気について、症状や治療方法などを見ていきましょう。

■多嚢胞性卵巣症候群とは

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)とは、卵巣内に卵胞と呼ばれるものがたくさんでき、それほど大きく発育しないために、排卵しにくくなる病態です。卵胞とは、卵子を包んでいる小さい胞状のもの。この卵胞が成長して2cmほどになると、破裂し、排卵が起こります。しかし、多嚢胞性卵巣症候群になると、卵胞が10mmくらいまでしか大きくならず、さらに数が増えます。卵胞が大きくならなければ、排卵がうまく行われません。このことで、生理不順や無月経が起こってきます。

●病気というより病態

多嚢胞性卵巣症候群は、卵胞が通常のように発育せず、増えた状態のことをいいます。ですので、病気というよりも、ひとつの病態としてとらえるほうがいいでしょう。しかし、排卵障害を起こすことから、不妊の原因になるため、妊娠を希望している場合には何らかの対処が必要になります。原則的には、排卵を促す治療が行われます。

■多嚢胞性卵巣症候群の症状とは?

多嚢胞性卵巣症候群は、脳下垂体から出るホルモンのうち、黄体化ホルモン(LH)が増えてホルモンバランスが崩れることで、うまく卵胞が成長できないことが原因のひとつであるといわれています。また、卵巣内の男性ホルモンが多いこと、インスリンの量が増加することなどが原因として考えられるといわれています。
では、これらの原因によって引き起こされる症状を見ていきましょう。

●生理不順・無月経

多嚢胞性卵巣症候群になると、なかなか排卵しないことから、生理がくるまでの期間が長引き、周期が35日以上になることがあります。また、生理不順の中でも、生理が不規則にくるなどの症状が出ることもあります。
場合によっては、生理が止まってしまい、一向にこない無月経になることもあります。

●にきびが増える・毛深くなる・声が低くなる

多嚢胞性卵巣症候群の原因のひとつである、男性ホルモンが多いことで起きる症状です。卵胞の中で、男性ホルモンのテストステロンが過剰に作られることで、にきびが増えたり、毛深くなったり、声が低くなったりすることがあります。

●肥満

多嚢胞性卵巣症候群になると、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンが増加することで、糖代謝異常が起きて肥満になりやすくなるといわれています。

●不妊症

排卵がうまく行われないことにより、なかなか妊娠しない不妊症になることもあります。実際、不妊治療を行っている女性の中でも、多嚢胞性卵巣症候群の女性は多いといわれています。

■多嚢胞性卵巣症候群の治療はどうやって行うの?

多嚢胞性卵巣症候群は、病気というより、一種の病態です。よって、治療というよりも、障害となっている排卵を正常化させることが行われています。

●妊娠を希望している場合

すぐにでも妊娠を希望している場合は、多嚢胞性卵巣症候群によってよく起こる、排卵障害を改善する必要があります。そのために、排卵を促す治療が行われます。主に次のような方法が取られています。

1. 排卵誘発剤の内服
クロミフェンと呼ばれる内服薬などを一定期間飲み、排卵を起こさせます。場合によっては、ステロイドの併用、漢方薬による治療も行われるようです。

2. 注射での排卵誘発
もし内服薬で排卵しない場合には、注射で排卵を促す方法が取られることがあります。

3. 腹腔鏡下手術
場合によっては、腹腔鏡下手術という手術法で、卵巣の表面に小さな穴をあけることで、排卵を促す方法をとることもあります。

そのほか、糖尿病の薬である「メトフォルミン」も排卵障害を改善するということが分かっているため、治療に使用されることがあります。

しかし、排卵障害は年齢を重ねるごとに悪化していくといわれています。注射でも排卵が起こらない場合には、体外受精を選択したほうが良いともいわれます。

●とくに現状、妊娠の希望がない場合

今のところ妊娠の希望がない場合には、生理周期を正常化するために、ホルモン療法やホルモン剤などが用いられます。主に次のような方法があります。

1. カウフマン療法
薬を使って、ホルモン変化を疑似的につくりだす方法です。これにより、生理周期が正常になるよう促します。

2. 低用量ピル
低用量ピルとは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンに似たホルモンを含んでいるホルモン剤です。主に避妊薬として使わるものですが、生理周期が安定する効果もあるため、多嚢胞性卵巣症候群の治療に使われることがあります。

多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣内で卵胞が十分発育せず、数が増える病態です。とくにこれといった重い症状はないものの、排卵が起きにくいことが多いため、妊娠を望む人にとっては障害になることがあります。とはいえ、妊娠するために排卵を誘発する治療法があるため、状態に応じてその治療を受けるのが一般的です。
もし、多嚢胞性卵巣症候群になった場合、妊娠をしたい女性にとっては不安が大きいものですが、排卵を誘発させる治療に取り組みながら前向きに考え、改善を目指しましょう。

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この記事のキュレーター

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