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子宮内膜症になってしまった……妊娠中の影響は?
よく聞く病名でありながらも、あまりどんな病気かを知らない人も多い子宮内膜症。もしも妊娠してから子宮内膜症であることが発覚した場合は、どうしたらいいのでしょうか。
今回は、子宮内膜症の基礎知識と、胎児への影響を解説していきます。
子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症は、本来子宮の内側にできる子宮内膜が、子宮の筋層や外の腹膜、卵巣などにできてしまう病気です。
子宮内膜は本来、生理とともに子宮から剥がれ落ちて排出されますが、子宮の筋層や外にできた子宮内膜は排出されるところがなく、炎症や痛みの原因となります。
子宮の外にできた子宮内膜も、毎月の生理に合わせて増殖し剥がれ落ちるため、子宮内膜症は生理がおこるたびに悪化していきます。
10代のうちに結婚し、何人もの子どもを出産することが多かった昔の女性にくらべ、晩婚・晩産・少子化の現代では、女性が生涯で迎える生理の回数はおよそ10倍にも増えているといわれています。
子宮内膜症の検査方法は?
検査方法は、問診、内診、超音波検査、腫瘍マーカーなどで子宮内膜症の兆候があるかどうかを診断します。
そのうえで必要があれば、最終的には腹腔鏡検査をして、場所や大きさ、進行のレベルを確認。
腹腔鏡検査とは、お腹に小さな穴を開け、内視鏡を挿入して腹腔内を観察するものです。
生理の期間以外ならいつでも行うことが可能で、数日の入院を要しますが、回復は比較的早いといえます。
妊娠中に子宮内膜症が発覚!胎児への影響は?
結論から言ってしまうと、子宮内膜症が胎児に影響を与えることはありません。
それは、妊娠によって子宮内膜症は改善するからです。よく子宮内膜症の治療薬として用いられるピルは、妊娠中と同じような状態を作り、排卵を止め、出血量を減らすことが目的です。
そのため、「妊娠することが最大の治療法」ともいわれており、症状も安定します。軽い子宮内膜症であれば、妊娠によって治ってしまうこともあるほどです。
治療法にはどんなものがあるの?
子宮内膜症には、進行レベルや妊娠を急ぐかどうかによって、大きく以下の3つの治療法があります。
一般的に妊娠中は症状が安定するので、治療は行いません。
しかし、卵巣内に子宮内膜症が発症する「チョコレート嚢腫」が見つかり、それが6センチ以上であった場合は破裂などのリスクを考え手術を検討することがあります。
● 対症療法
軽度の場合、鎮痛剤や漢方を服用して痛みを和らげます。しかしこれは、あくまで痛みを和らげるだけの方法で、子宮内膜症自体を治療するものではありません。
● 偽閉経療法
同じく軽度の場合ですが、点鼻薬や注射などでエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌を抑えて、生理を4~6ヶ月ほど停止させ、内膜を回復させる方法をとることもあります。ただしこの方法も、根本治療ではないため、再発の可能性があります。
● 手術
子宮内膜症の症状がある程度進行している場合は、腹腔鏡での手術で腫瘍や癒着を取り除く必要があります。
チョコレート嚢胞が大きかったり癒着が強かったりする場合は、開腹手術が必要になることもあります。
妊娠により改善し、比較的回復の早い病気である子宮内膜症ですが、再発の可能性もあります。もしも子宮内膜症が見つかった場合は、出産後も定期的に受診しましょう。
★今回のポイント★
・妊娠中に子宮内膜症が発覚しても、治療の必要はない
・胎児への影響はなく、妊娠により子宮内膜症が治る可能性がある
・チョコレート嚢胞が進行している場合は、手術を検討した方がよい場合がある
この記事の監修
産科医 竹内正人先生
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