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お腹の赤ちゃんにダウン症の疑いがあると言われたら…
高齢出産の増加などにより、ダウン症で生まれてくる赤ちゃんが増えています。最近は医療の進歩により、赤ちゃんがダウン症かどうかを生まれる前から調べる出生前診断も、精度が上がってきました。もしもお腹の赤ちゃんにダウン症の疑いがあると言われたら?
出生前診断の方法や実情などについて解説していきます。
ダウン症は染色体が通常よりも1本多い
ダウン症は、染色体の異常によって起こる生まれつきの症候群です。
私たちのカラダの細胞には遺伝にかかわる46本の染色体がありますが、ダウン症の赤ちゃんは「21番目の染色体」が通常よりも1本多い、47本で生まれてきます。
ダウン症の子どもが生まれる確率は、800~1,000人に1人と言われていますが、その確率は出産年齢が上がるにつれて高くなり、35歳で約300人に1人となります。
かつてダウン症の子どもは長く生きられないと言われてきましたが、今は医療の進歩により平均寿命は50歳を越えています。
就職して仕事を持つ人もいれば、中には芸術的な才能を発揮する人もいます。
出生前にどうやって診断するの?
ダウン症の赤ちゃんは、過去15年間の間に約2倍に増えているともいわれています。背景には、高齢での出産が増えていることが影響していると考えられています。
最近では、赤ちゃんが生まれる前にダウン症かどうかを調べる出生前診断も、検査方法の進歩により精度が高くなってきました。
では、早速、主な検査方法をご紹介します。
● 超音波検査(エコー検査)
普段の妊婦健診で行われている一般的な検査の一つです。
妊娠11~14週の映像で、お腹の赤ちゃんのうなじあたりに厚い皮膚の浮き上がりがある場合には、ダウン症が疑われます。
とはいえ、この検査ではあくまで疑いに過ぎず、確定診断はできません。
● 母体血清マーカー(クアトロマーカー)
お母さんの血液の成分を調べることで、赤ちゃんに染色体異常があるかどうかを調べる血液検査です。
採血するだけなので、お母さんの負担も少なく、安全な検査といえます。
検査を受けられるのは妊娠15週から。10日間ほどで結果がわかります。
あくまでダウン症かどうかの確率を知る検査であり、結果次第では次の羊水検査を受ける人もいます。
費用は2~3万円程度です。
● 羊水検査
お母さんのお腹に針を刺し、子宮から羊水を採取。その中にある赤ちゃんの細胞から、ダウン症などの染色体異常がないかどうかを調べます。
妊娠15週から受けられ、費用は保険適用ではないため自己負担になります。
この羊水検査により赤ちゃんがダウン症かどうかの確定診断ができますが、一方では0.3%の確率で流産や破水のリスクがあります。
費用は、15万円前後です。
● 新型出生前診断
上記は従来から行われてきたものですが、カラダの負担がより少なく、より精度の高い検査として新たに注目されているのが、この新型出生前診断です。
妊娠の早い時期に、少量の血液を採るだけで、ダウン症をはじめとする3種類の染色体異常の有無を確認することができます。
この検査により、ダウン症の可能性は99%の確率でわかるといわれていますが、それでも100%正確とはいえません。
仮にこの検査が陽性だった場合でも、確定診断を行うためには羊水検査を受ける必要があります。
世界でも始まったばかりの検査で、日本では実施している施設が限られています。
費用は、20万円前後です。
ダウン症の出生前診断を受ける前に
お腹の赤ちゃんの異常を早期に知ることは、お母さんと赤ちゃんの健康を守るという意味ではメリットがあります。
しかし一方では、倫理的な課題があることも否めません。
出生前診断によりお腹の赤ちゃんに異常があることがわかった場合、ほとんどの夫婦が、赤ちゃんを産まないこと(人工妊娠中絶)を選択している現実があるからです。
出生前診断がより身近になったことで、人工妊娠中絶が増え、病気や障害を持つ人が生きづらい社会になることを危惧する声もありますが、かといって真剣に悩んだ末の選択を、安易だと簡単に言えるものではありません。
いずれにしても、出生前診断を受ける際には、どうして検査を受けるのか、もしも陽性反応が出たらどうするのか、夫婦でよく話し合っておくことが大切だといえるでしょう。
★今回のポイント★
・高齢出産の増加にともない、ダウン症の赤ちゃんが増えている
・新型出生前診断は、お母さんの負担が少なく、精度の高い
・中絶の増加を危惧する声も。検査前には夫婦でよく話し合いを
この記事の監修
産科医 竹内正人先生
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