がん検診のススメ③ がんになったら仕事は辞めるべき?

がんは、わずかな知識と行動で、大きく運命を変えられる病気です。
がんから身を守るためにぜひ知ってほしいことを全3回でお送りします。
※この記事は、がん対策推進企業アクション「がん検診のススメ第3版」より引用させて頂いております。

がんは「不治の病」ではありません。

現在、全体で見ればがんの6割が治ります。

さらに、早期の段階でがんを見つけられれば、治癒率はぐんとよくなります。進行した胃がんでは、半数以上の方が命を落としますが、早期であれば100%近くが完治します。

がん全体についても、早期がんの段階なら多くのがんで9割以上が完治すると言えます。

仕事は「生きる意味」をもたらす

がんがわかると、多くの人が、体力的に困難なのではないか、会社に迷惑がかかるのではないかと思い、退職を考えます。厚労省の調査では、がんの診断後に4%の人が解雇され、約30%の人が依願退職していました。

しかし、仕事を続けることは、経済的な面だけではなく、生きがいという意味でも、支えになります。早まって退職を決意しないでほしいと思います。
最近のがん治療は、以前の「長期入院」から、「通院治療」へ大きくシフトしています。多くのがんでは入院せず仕事を続けながら治療を行うこともできるのです。

しかし残念ながら現在の日本は、柔軟な働き方への理解が十分とは言えません。

がんになっても働ける社会に

がん患者の3人に1人は現役世代(2064歳)です。実に、従業員の7人に1人くらいが、がんになる計算です。

さらに、少子高齢化が進む日本では、多くの女性が仕事につき、定年も延長される傾向にあります。
女性のがんは 55 歳以下でも多く、男性のがんは 55歳以降急激に増加しますから、今後会社勤めをしながらがんを患う人が急増することになります。

これほど多くの人がかかる「国民病」であるがんは、病気になったその人の問題と捉えるのではなく、社会全体で支援するべきです。
「がんになっても働ける」会社であることは、今後、ますます重要になってきます。
ただし、がんの種類によって経過は異なりますし、治療の副作用には個人差があります。

そこで、企業と働き手の間で、できることとできないことを丁寧に話し合い、それに応じた工夫を重ねることが必要になります。

情報を共有しましょう

まずは、就業規則を確認してください。
上司、産業医、人事・総務部、社会保険労務士、派遣の場合は派遣会社など、まわりの力になってくれる人に相談しましょう。

2016年2月、厚生労働省は、「治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しました。
治療と仕事を両立するため、職場に求められる取組みをまとめたものです。
その中では、企業、労働者、病院の間での、次のような情報共有が推奨されています。

①労働者が、勤務状況を書面の形で主治医に提供し、就業上の可否について主治医の意見を書いてもらいます(「ガイドライン」に書面の様式例があるのでご参照ください)。

②その文書を、事業者と共有します。

③事業者は、労働者、産業医等と相談しながら、具体的なサポートプランを立てます(「ガイドライン」の「両立支援プラン」をご参照ください)。

<サポートプランの例>
・時間単位での有給取得
・傷病休暇の設定
・フレックス勤務
・短時間勤務
・在宅勤務
・試し出勤
・マイカー勤務
・業務軽減
・配置転換….など。

通院による治療も可能です

「がん=長期入院・闘病」というイメージがありますが、そのイメージは、時代遅れになりつつあります。

がん患者さんの入院日数は近年短くなってきており、平均で20日程度。胃がんや大腸がんでは、早期なら内視鏡による日帰り手術も可能です。また、放射線治療や抗がん剤では、通院が主流になってきています。

がんは、病状や治療の予測が比較的立てやすい病気です。治療が一段落すれば、経過をみながら徐々に仕事に復帰することも可能です。

ただし、がん治療からの復帰後は、後遺症で体力が低下していたり、抗がん剤やホルモン剤の副作用があったりと、すぐに以前と同じように働くことができるとは限りません。
時間単位で取れる傷病休暇制度など、柔軟な就労環境があるといいでしょう。

 

※この記事は、がん対策推進企業アクション「がん検診のススメ第3版」より引用させて頂いております。

 

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