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教えて まさち先生!① 体外受精・顕微授精を知りたい! ~採卵編

医師に「体外受精に進みませんか?」と提案されたとき、不安を感じる人は少なくないと思います。それは、自分のカラダの外で人工的に行われる不妊治療に対して漠然とした不安を感じていたり、時間や費用の面で今までよりハードルが高くなったと感じているからかもしれません。

この連載では、数回に分けて、不妊治療のスペシャリスト・花岡まさち先生にお話をうかがいます。多くの方たちが感じている不安を解消する助けになればと思います。

ステップアップは怖くない!体外受精/顕微授精って?

体外受精とは、卵子と精子をカラダの外へ取り出し、体外で受精をうながし、体外で受精卵を育ててカラダの中に戻す方法のことです。

 

― まず、体外受精が必要な人というのは、どういう人なのでしょうか。

 

まさち先生は、年齢や基礎疾患などその患者さんの背景にもよりますが、「タイミング法や人工授精で6周期がんばってみても妊娠ができないカップル」に対して、体外受精へのステップアップをすすめるそうです。

 

まさち先生:

大切なことは、「残りの卵子をなるべく有効に使うためにより成功率の高い方法に移行していきましょう」ということです。
このためにステップアップをおすすめしています。

例えば、現在人工授精を行っている方、または行おうとしている方は6回がひとつの区切りだと思ってください。
なぜならば、人工授精で妊娠する人は6回目までにそのうち95%の人が妊娠に至っているからです。
つまり、それ以上回数を重ねても難しいのです。
結果が出るならば6回までに出ているはずで、それ以降は妊娠の可能性が明らかに下がります。

もう一つ大切なことは、診断的治療という概念です。

一般不妊治療は、カラダの中で何が起こっているかを見ることができないのです。
たとえば、卵子と精子が本当に受精しているのかは、カラダの中で起こっていることなのでわかりません。
そして受精して受精卵ができても発育しているかは不明です。

それから卵管に卵子が取り込まれたのかも不明ですし、そもそも卵子と精子がちゃんと出会っているのかも不明です。
カラダの中のことはブラックボックスなので見えませんから、妊娠できない原因を特定できません。

でも、体外受精に切り替えることで、体外で受精させ、体外で受精卵を培養させることで、見えないことが見えるようになります(診断できるのです)。

そして、カラダの中に任せっきりだったことが医療の力によってサポートできるようになります。
これが大切な体外受精の大切な役目なのです。

昔は、何らかの原因がないと体外受精を行わない時代がありましたが、いまでは一般不妊治療で結果が出なかった方の有効な「次の手」として広く受け入れられています。

 

35歳以上での不妊治療、何が違うの?

― 体外受精に進む方の中には、年齢が高い方もたくさんいます。

一般に35歳以上は妊娠力が落ちると言われますが、成功率はどうなのでしょうか。

 

まさち先生:

体外受精の成功率は、卵子の質と卵子の数に大きく左右されます。
まず、卵子の質は35歳から急激に低下していきます。40歳代はこれが進んだ状態だと思ってください。

35~40歳未満での妊娠率は、一回の受精卵の移植で3040%程度が目安だと思ってください。
もちろんどのようなグレードの受精卵を移植したかにも大きく左右されます。

体外受精の成功率のもっとも重要なファクターはもちろん女性の年齢です。

しかしもう一つ大切なファクターがあります。これがAMHです。
AMHは卵巣予備能と言われるもので、採血でこのAMHというホルモンを調べることで、体外受精の際、誘発によって採卵できる卵子の数が予測できます。

つまり「年齢が卵子の質」、「AMHが卵子の数」を示唆していると考えてください。
AMHは一概に年齢とは比例しませんが、早めに治療を始めるに越したことはないでしょう。

実は、私たちが生まれたときに既に卵子の数は決まっているので、あとは減少するのみなのです。
けれど、早いうちから不妊治療を始めたり、食事に気を使ったりするなど、35歳までに何らかのアクションを起こすことで、良い結果を導くことが可能かもしれません。

卵子の老化は止められませんが、進行をゆっくりにすることはできるはずです。
時間を戻すことはできませんが、卵巣の状態には個人差がありますので、年齢だけで諦めるのは早すぎるかもしれません。

今までのまさち先生の治療経験としては、45歳での妊娠が最高齢ということでした。

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体外受精に進むときにする検査

― では、体外受精のために必要な準備には、どのようなものがあるのでしょうか。

 

まさち先生:

必要な検査は、ご夫婦の感染症、抗精子抗体、血液型・血液凝固能、精液検査です。
そのほかにも、婚姻関係の証明や、体外受精同意書を提出していただきます。
人工授精まで進んでいる人は、既に終わっている検査もあるので、採血と同意書が必要なぐらいですね。

それから、体外受精の勉強会になるべく夫婦で参加してもらっています。
きちんと説明を聞くだけで、治療の不安はずいぶん払拭されると思いますよ。

 

<体外受精に必要な準備と検査>

1 夫婦の感染症の検査:B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV
2 抗精子抗体の検査
3 血液型・血液凝固能の検査(体外受精準備採血)
4 精液検査
5 婚姻関係証明の提出(戸籍謄本もしくは住民票)
6 体外受精同意書の提出(夫婦両方の同意が必要)
7 勉強会の参加

(「はなおかIVF クリニック品川」の場合)

 

生理が始まってから、採卵するまでの流れ

― 体外受精の準備が整ったら、いよいよ採卵です。

治療の流れについて、まさち先生におうかがいしました。

 

まさち先生:

体外受精の入り口は、卵子を回収することです。
まず、生理開始から2日目の受診で、今回体外受精ができるかどうかを判断します。

そして卵巣刺激を開始します。卵巣を刺激して、卵子を育て、取れる卵子の数が増えるようにします。
その間刺激方法に応じて35回程度来院して頂くことになります。

きちんと成熟した卵子をつくるために、採卵が決定したら採卵の36時間前に鼻スプレーか注射、またはその両方を使って成熟卵になるようにうながします。

これを私たちは『トリガーをかける』と呼んでいます。
トリガーの36時間ぐらい後が、成熟卵がよく採れるとされています。

実際のスケジュールはトリガーを夜9時ころに行って、採卵は翌々日の朝9時ころに行うことがほとんどです。

このタイミングを逃さないようにしないと、それまでの受診や投薬が無意味になってしまうことがあるので、しっかりとやりたいところです。

採れた卵子は、すぐに精子と受精操作を行い、受精卵を作ります。その後、受精卵は3日目(初期胚)または5日目(胚盤胞)まで培養室で育てた後に凍結し、ほとんどは次回の周期で移植します。

 

図1

 

― 採卵に関しては、痛みが不安という方もいると思います。実際には個人差があると思いますがいかがですか?

 

まさち先生:

採卵は、採血ぐらいの痛みですね。
カラダの表面に比べると、卵巣や腟壁は鈍感にできていますので、痛みを実際に訴える方はあまりいません。

恐怖心が先行するのはやむを得ないことですが、心配いらないと思います。
医師が採卵の処置をしたことに気づかない人もいるぐらいです。

全身麻酔という方法もありますが、意識がなくなることによって危険な状態に気づくのが遅れたり、誤嚥などのリスクがあるため当院では行っていません。

採卵が終われば、体外受精の処置の半分はおしまいです。

受精卵をカラダに戻す「移植」については、次回に詳しく見ていきましょう。

 

 「教えて まさち先生!」は毎週火曜日に更新されます。

次回は11/14です、お楽しみに!

 

お話をうかがった先生

先生紹介_修正2(テキスト付)

 

★取材協力★

はなおかIVFクリニック品川
TEL:03-5759-5112
アクセス:大崎駅南口から徒歩90秒 スターバックス大崎ゲートシティー店奥

 

教えて まさち先生!①のアンケートにご協力ください

 

この記事のキュレーター

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