出産後は、子どものためにも健やかさ第一に

女性の不安や悩みを実際の症例とともに、監修医師の方々にお話を伺いました。
※「みんなでつくるルナルナ」2014年3月11日に公開したインタビュー記事の再掲です

成城松村クリニック院長 松村圭子先生は、婦人科専門医として、月経トラブル(月経前症候群、月経困難症、月経不順)、更年期障害など女性のあらゆる不調や疾患のケア、婦人科検診を行っていらっしゃいます。

疾患の治療、総合的アンチエイジングケアを通して、美と健康の維持への啓蒙をされている先生からのメッセージです。

いつまでも続く不調は産後うつかも?

 

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妊娠中は、生理の影響を受けることもなく、子宮や卵巣をお休みさせることができるので、出産回数が多ければ多いほど、子宮や卵巣の病気のリスクが低くなります。

でも、今は昔に比べて出産回数が極端に減って、だいたい一生で1~2回ぐらいですから、子宮・卵巣の病気についてのリスクは出産してもしなくてもあまり変わらないんですね。

それよりも、出産した女性にとって、今、大きな問題になっているのが産後うつ。

20代で産後うつを病院に行かずにガマンして、そのまま30代まで引きずっている…という人もいます。

マタニティブルーという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、もともと出産後というのは、胎盤がなくなって体内のホルモンがガクンと減ってしまうので、自律神経が乱れやすく、更年期障害のような不調が起きやすいんです。

でも、マタニティブルーの場合は、産後5日目くらいがピークで、通常は10日目くらいまでには落ち着くんですね。

生理が再開しても不調がいつまでも続くような場合は、産後うつの可能性があります。

 

産後の不調から更年期障害に突入!?

 

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特に最近増えているのが高齢出産による産後うつです。

高齢出産でも、出産経験者ならまだいいのですが、初産だと大変。35歳以上の初産の場合、産後うつになりやすいというのは統計でもはっきりしています。

ある程度の年齢になると、自分のライフスタイルが確立されているので、出産や子育てによっていきなり生活習慣が変えられることが大きなストレスになりやすいんです。

もちろん、年齢による体力低下の問題もあります。にもかかわらず、昔と違って核家族のため、周りの助けも期待できず、年齢的にもプライドがあって弱音も吐きづらい…。そんなスパイラルにはまってしまう女性が多くいるようなんです。

さらに、高齢出産の場合、いわゆるプレ更年期世代で赤ちゃんを産むことになるので、産後の不調からそのまま更年期障害に突入してしまうこともあるんです。そんな体調が悪い状態で子育てをしなくちゃならないのは、本当に負担のかかることだと思います。

マタニティブルーから産後うつ、更年期障害へとこじれるのを防ぐには、自分の話を聞いてもらえる場所をもつことが大切。

子育てに関する知識がない、近くに親がいない、だんなさんが協力的ではないなど、だれにも相談できない状況にいることが、症状がこじれる大きな原因になっていることが多いからです。

だんなさんなど身近な人でもいいですが、今は自治体やNPOで無料相談窓口を設けていることもあるので、そういうところに相談するのもいいでしょう。

症状がひどい場合はもちろん病院に行く必要がありますが、改善策がわかることで気持ちが落ち着く人も多いようですよ。

 

子育てにまい進し、自分の身体の異変に気づかない人も

 

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あとは、出産して子育ての時期に入ると、子どものことばかりになって、自分の身体の不調に気づかないという女性も多いですね。

例えば、以前、私のクリニックに高校生の娘さんの診察で40代後半のお母さんが一緒に来院されたんですが、そのお母さんのほうの診察をしてみてびっくりしたことがありました。

軽い不正出血が気になるとのことだったんですが、大きな子宮筋腫があり、血液検査をしてみたら、それはもうひどいド貧血。貧血の指標となるヘモグロビンの数値が通常の人の半分ぐらいしかなかったんです。

これほど大変な貧血になるには、生理のときもかなりの出血だったはず。普通だったら耐えられないほど体調も悪かったと思うんです。

でも、このお母さんは、子育てにまい進しすぎていたんでしょうね。自分の身体のことが後回しになってしまって、子どもがいないころだったら気づいていたと思われる不調にまったく気づいていなかったんです。

お母さんが元気でいれば子どもも幸せに!

 

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このお母さんの場合は、そのあと適切な治療をして今は元気に過ごされていますが、身体の不調をやり過ごしてそのまま放っておくと、ときには大変なことになることも。

お母さんの健康は子どもの幸せにつながります。子どもが大きくならないうちに死んでしまったら、元も子もありません。

子どもの成長を見守るためにも、不調の芽は早めに摘んでおきたいもの。しっかりと自分の身体にも目を向けて、検診や治療をきちんと受けてほしいですね。

それは、精神面も同じこと。お母さんの精神バランスの悪さを、子どもは敏感に感じ取ります。

産後うつや更年期障害などでふさぎこんだり、イライラしたり、子どもにあたったりするのを防ぐためには、1人でガマンして何でもやってしまおうと思わずに、周りに相談したり、協力してもらったりすることが大切。

お母さんがハツラツとしているからこそ、子どもは安心して元気に育っていけるんだと思いますよ。

 

★先生からのメッセージ★

産後うつなどによる精神的なゆらぎを防ぐためには、自分1人で抱え込まずに、誰かに相談したり、協力してもらったりすることも大切。

子どもが生まれると、自分の身体のことをつい後回しにしてしまいがちですが、お母さんの健康が子どもの幸せにつながります。自分の身体にも目を向けて、検診や治療をきちんと受けましょう。

 

 

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この記事のキュレーター

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