【医師Q&A】不妊治療をステップアップしたい!高度生殖医療(ART)ってどんな治療?

不妊治療について患者さんが不安や疑問に思うことを、ルナルナがズバリ専門医師に質問!!
今回は、「不妊治療の目標は、できるだけ早く妊娠・出産して子育てをスタートすること」と語る不妊治療の専門医師に、高度生殖医療(ART)について詳しく教えていただきました。

Q:妊活中のAさんの悩み

38歳女性です。夫は39歳。妊活歴は1年程度です。
すぐにでも子どもが欲しいので、結果に結びつく不妊治療をしたいと考えているのですが・・・。
タイミング療法を何度か行いましたがなかなか妊娠に至らず、自然妊娠はほぼあきらめています。
ARTについては専門雑誌やサイトなどで目にしていますが、体外受精というものに漠然とした不安があり、ARTのステップに進むべきか悩んでいます。
どのような治療なのか、妊娠率はどのぐらいなのかなど、教えてください。

 

A:不妊治療の専門医師、浅田レディースクリニックの浅田義正先生に聞きました。

まずは、不妊治療を行うにあたり、知っておいてもらいたいこと3か条!

 ★不妊治療について正しく理解する(正しい知識を持つ)!
 ★「努力してできること」と「努力してもできないこと」を正しく知っておく!
 ★誤った情報に惑わされないための「不妊患者力」を高める!

このことを踏まえて、ARTとはどのような治療法か、妊娠率や費用はどのぐらいか、などについて学んでいきましょう!

 

ARTとは「体の外で受精卵を作る治療法(体外受精・顕微授精)」のこと

不妊治療は、一般不妊治療(タイミング療法、排卵誘発、人工授精)とART(体外受精・顕微受精)に分けられます。

 


ART
【体外受精】
注射などによって卵子を発育させて採取し、体の外で受精させて、受精卵を子宮に戻す治療法
【顕微授精(ICSI)】
体外受精のうち、顕微鏡下で精子を卵子の中に注入して受精させる方法

 


 

不妊治療では、タイミング療法→排卵誘発→人工授精→体外受精へとステップアップしていきます。

それは、できるだけ早く、かつ、過剰な治療はせず妊娠につなげるためです。

人工授精から体外受精にステップアップするタイミングは、年齢などの条件によって異なりますが、例えば35歳以下で5回、38歳で3回、40歳以上で1~2回が目安。

人工授精を試して妊娠しなかった場合は、体外受精へのステップアップが勧められます。

 

治療方法は、年齢や卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数)などで決めます

「高齢になるほど妊娠しにくくなる」ということは多くの人が知っていますが、そのいちばんの要因は「卵子の老化」です。

つねに新しく作られ続けている精子と違い、卵子は母親の胎内にいるときに一生分作られ、卵巣の中で保存されています。

つまり卵子は、30歳の人なら30年、40歳の人なら40年経過した細胞ということです。
そのため、卵子は年齢とともに数も質も低下し、それが妊娠率に影響するのです。

不妊治療の方針をたてるときに重要な指標となるのが、血液検査でわかるAMH(アンチミューラリアンホルモン)値です。

これは「卵巣に卵子がどのぐらい残っているか(卵巣予備能)」を予測できる値で、AMH値が高ければ、卵巣の中に卵子のもととなる原始卵胞が多く残っていると推測できます。

 AMH値は、一般的に年齢とともに低下しますが、個人差があり、低下に自分で気づくことができません。
検査をしてAMH値が低かった人は、なるべく早く体外受精を始めた方がいいといえるでしょう。

 

ARTでの妊娠率は? 受精卵を凍結して保存することで、1回の採卵で2回以上の体外受精が可能に!

ARTによる妊娠率は、女性の年齢や卵巣予備能、カップルの遺伝子の相性などによって異なります。

 近年の主流として、受精卵を凍結保存しておき、使用するときに解凍(融解)して子宮に戻す(胚移植する)方法があります。この方法により、1回の採卵で複数回の胚移植が可能になりました。

 浅田レディースクリニックの場合、1回の採卵による妊娠率は平均で63.3%です。
ただし、年齢によって大きな差があり、例えば20代なら88.6%、43歳以上なら15%となります。(※)


※浅田レディースクリニック:2016年の採卵/2017年末までの移植によるデータより

 

費用は治療する医療機関によって異なります

ARTは保険適応外の治療であり、かかる費用は施設によって異なります。

おおまかな目安として、浅田レディースクリニックでは、1回の採卵~受精卵の凍結までは約30~70万円、凍結した受精卵の融解~1回の移植は約15万円程度です。

施設により、また検査や治療の内容によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。

 

治療期間は人によりさまざまですが、目標は「できるだけ短く」

1回の体外受精で妊娠する人もいれば、10回目の移植で妊娠する人もおり、治療期間はさまざまです。

ひとつの目安として、浅田レディースクリニックでは、35歳以下ならタイミング療法を数回、人工授精を56回して妊娠できなければ体外受精にステップアップし、12年以内の妊娠を目指します。

ただし、年齢が上がるほど妊孕性(妊娠できる力)は低下するため、治療期間は短いほど望ましいといえます。

多くの人が誤解していることですが、「食事に気をつける」「ストレスをためない」などという「ライフスタイルの改善」で妊娠率を高めることはできません。
妊娠するためには、「エビデンス(科学的根拠)に基づく正しい不妊治療」が必要なのです。

「漠然とした不安」を「明確な知識」に変え、次のステップに進むことを考えましょう。

 

ルナルナからのおすすめ

不妊治療についてもっと詳しく知りたい人は先生の著書も参考にしてみて!

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「不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」 (ブルーバックス)
発行:講談社 (2016/7/20)
価格:900円(税別)
著者:浅田 義正, 河合 蘭

 

今回質問にお答えくださった先生

医療法人 浅田レディースクリニック
・浅田レディース品川クリニック
・浅田レディース名古屋駅前クリニック
・浅田レディース勝川クリニック

院長
浅田義正(あさだ・よしまさ)

 「患者さまがより早く治療を卒業し、子育てのステージに入ること」を重視し、時間を無駄にしない、痛くない、心にやさしい不妊治療を目指しています。」

医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医

 


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この記事のキュレーター

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