いつか妊娠したい人へ 「妊娠前にしておくべきこと・知っておくべきこと」

そもそも妊娠のしくみ、男女の体のこと、卵子や精子のことについてきちんと教えてもらったことがないと思いませんか?

今回は、男女の身体の基礎知識として、妊娠するまえに知っておきたい「男女が2人でしておくべきこと・知っておくべきこと」について、産婦人科医の竹内正人先生に聞きました。

 

「2人で知っておくべき妊娠するための基礎知識」 #7
※参考:「妊活たまごクラブ 2022-2023年版」

 

主に女性(一部男性)がしておくべきこと

いざ、子どもが欲しい!と思ってもすぐにそのとおりにはならないことも。
妊娠しにくくなることの原因への対策で今からできることはぜひ取り組んでおいて!

【女性向け】トキソプラズマの検査

★妊娠中は加熱が不十分な肉などには注意をして

加熱処理の不十分な肉や、土やネコのふんなどから感染。免疫が正常に働いている健康な人は、感染しても無症状の人がほとんどで、一度感染すると抗体ができます。
しかし妊娠中に初めて感染すると、赤ちゃんに悪影響が出ることも。血液検査で抗体のチェックを。

【男女どちらも】風疹の検査など

★パートナーや周囲にも協力をしてもらいましょう

妊娠初期に母体が風疹にかかると、おなかの中の赤ちゃんに障害が出たり、発達に問題が起こる可能性があることがわかっています。
妊娠中は、風疹の予防接種が受けられないので、妊娠を考えだしたら、パートナーとともに風疹の抗体検査を受けるのがおすすめ。

【女性向け】子宮のトラブルなど

【子宮頸がん】
★定期的な健診を受けておくと安心

子宮内膜ががんになるのが「子宮体がん」、産道の一部のがんが「子宮頸がん」。子宮体がんは初期でも不正出血がありますが、子宮頸がんは自覚症状がありません。
進行すると子宮摘出や生命にかかわります。早期発見なら完治可能なので、定期健診を忘れずに。

【子宮筋腫】
★不妊の原因にもなるので検査と適切な治療を

子宮内にできる子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、大きくなったり数が増えたりすると、受精卵が着床しにくくなり不妊の原因にも。
生理時の出血が増えたり、下腹部痛、腰痛、頻尿、便秘、貧血などの症状が出る場合には注意が必要です。ひどくなると腫瘍摘出手術をすることもあります。

【子宮内膜症】
★排卵トラブルの原因にもなるので要注意!

子宮の内側にある子宮内膜が、子宮以外の周辺の組織で増殖する病気です。卵管や卵巣の近くにできると、排卵が正しく行われにくくなります。
30代以降の女性に多く、激しい生理痛を伴うのが特徴です。放置すると血液が卵巣にたまり、手術が必要になることも。

卵巣の検査など

★若い人にもトラブルが増えています

卵巣は、卵子を保存して育てる大切な器官です。卵巣機能不全、卵巣のう腫、卵巣がんなど、以前は40代以降に多かった病気も、最近では若い人にも増えている傾向があります。
生理時の出血が増えたり、生理痛がひどいようなら、早めに医師に相談しましょう。

男女2人で知っておくべきこと

妊娠中や赤ちゃんが生まれたあとのことを考えて調べておくといいこと、今やっておくといいことをぜひパートナーと一緒に知っておきましょう。

出生前診断

★パートナーとよく相談をしてから決断を

赤ちゃんの先天性疾患の一部(染色体異常や形態異常など)を調べることができる検査。
超音波検査、クアトロテスト(母体血清マーカー検査)、NIPT(血液検査でわかる新型出生前診断)、羊水検査、絨毛検査などがありますが、母体への負担や、費用、結果をどう受け止めるかなどの事前のリサーチをパートナーとよく考えて。

年代別妊娠率

★年齢が上がるほどに妊娠率が下がります

統計的に、結婚年齢が20~24才では、子どもを授からない率が5.7%ですが、25~29才で9.3%、30~34才では15.5%、35~39才では29.9%、40~44才では64.5%になります。
体外受精などの不妊治療1回あたりの出産率も30代を過ぎると下がり、45才過ぎの妊娠・出産は稀になるというデータが出ています。
(「女性の結婚年齢別に見た非妊娠率」出典:Menken et al.,Science,1986を改変)

産後の働き方

★フレキシブルな考え方で準備をしておくと◎

妊娠して出産をしたら、育休を取るのか、育児に専念したあとに再就職をするのか…。
住んでいる地域によって保育園の入所倍率なども大きく異なるため、最近は妊娠中から保育園探しを始めることも常識になっています。自分の希望するキャリア、世帯収入や将来設計についても、妊活中にパートナーとよく話して!

産後うつ

★どういう状態になるのかを妊娠前から知っておけば安心

近年、「産後うつ」が社会問題になっています。産後はホルモンバランスが崩れ、精神的にも不安定な状態に。さらに初めての出産、慣れない育児、授乳やおむつ替えなどで夜も眠れないといった物理的なことも加わり、育児に自信が持てなくなります。
1人で抱えず、医師に相談すべき症状であることを知っておきましょう。

体重管理のこと

★太りすぎにもやせすぎにも注意が必要!

臨月には子宮や乳房、羊水や胎盤、赤ちゃん、さらに脂肪も増えるので10kg~13kgの体重増加が目安。しかし近年、やせすぎの女性も多く、妊婦の栄養不足が低出生体重児の増加につながることが問題に。
低出生体重児は、将来の生活習慣病のリスクが高いことがわかっています。逆に太りすぎると出産時に難産になりやすい傾向も。

■監修/竹内正人 先生

●イラスト/山本あゆみ
●取材・文/長谷川華

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

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この記事のキュレーター

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