何人子どもが欲しい? から考える 妊活の「始めどき」って?正解は“1日でも早く”

妊活を意識してみたものの、もしかして不妊?と思ったら、不妊外来を受診してみませんか?
不妊治療は早く始めるほどいいといわれます。いきなり治療が待っているわけではないので安心して! まずは考え方からスタート!
産婦人科医の齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。

 

「不妊外来へようこそ!初めての不妊治療が全部わかる!ガイド」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 2022-2023年版」

 

何人子どもが欲しい? から考える 不妊治療の「始めどき」

赤ちゃんが欲しい!と思ったら、1日でも早く妊活をスタートしましょう。ここで言う「妊活」とは、広義の妊活よりも、もう一歩進んだ「不妊治療」を視野に入れた妊活のことです。その理由は、医学的なデータにあります。

下のグラフは、年齢と妊娠しやすさの関係を示し、若いときのほうが年をとってからより妊娠しやすいことを表しています。そのカーブをよく見てみると、妊娠率は年を追うごとに均等に下がるのではなく、32歳をすぎたあたりで急に落ちているのがわかります。これは自然妊娠でも、不妊治療をした場合でも同様なのです。

妊娠達成確率別に見た「妊活を開始すべき」上限年齢(欲しい子どもの数1人の場合)

※出典/Habbeman et al. Hum Reprod.30;2215-21 2015
※出典/Habbeman et al. Hum Reprod.30;2215-21 2015

上記のグラフは、子ども「1人が欲しい」場合に、何歳までに妊活を始めたら実現するかの確率を統計で示したもの。「自然」は自然妊娠、「IVF」は体外受精をした場合です。自然妊娠で「絶対欲しい」(90%以上の達成率を望むなら)場合、スタート上限は約32歳。体外受精の治療もOKだとしても、36歳には体外受精を開始したほうがよいことに。

【自然妊娠・32歳】

32歳から急速に妊娠率が下がり始めます。できれば、スタートすべき時より前から始めたい。

【自然妊娠・37歳】

自然妊娠で赤ちゃんが授かる可能性が高い年齢の最後の分かれ目といえるでしょう。37歳以降は急激に妊娠率が下がります。

【体外受精(IVF)・36歳】

高度な医療=IVFをする覚悟だったとしても、妊娠率90%以内となると36歳まで。ここからぐっとカーブが右下がりに。

【体外受精(IVF)・39歳】

不妊治療をしたとしても、妊娠する確率は不妊治療をしたとしても、妊娠する確率は4分の3(75%)の領域に。40代でも妊娠する人もいますが、かなりレアケースと考えて。

自然妊娠で子ども2人欲しいなら27歳までにスタート

もし自然妊娠で2人赤ちゃんを産みたいなら、27歳には一人目の妊活をスタートする必要があり、体外受精をしてもよいという人でも、32歳にはスタートしていないと、「どうしても」という確率は低くなります。そのくらい、確率上、スタート時期は早いのです。

IVFまでOK、できれば子ども1人欲しいなら39歳でスタートも可

できれば子どもが欲しい、という思いで、体外受精まで試みてもよい、ということならば39歳で治療を始めてもなんとか間に合うかもしれません(妊娠する確率75%)。
ただそれも41歳を過ぎると妊娠する確率は50%台に下がります。

欲しい子どもの数別・達成確率別に見た妊活を「開始すべき」上限年齢表

※出典/Habbeman et al. Hum Reprod.30;2215-21 2015

自然妊娠で子どもが3人欲しい場合、達成率90%を実現するには、妊活の開始年齢は「23歳」ということに。IVFをした場合でも子どもが3人欲しい場合は「28歳」で始めないと実現が難しい。

人工授精による累計妊娠率(40歳未満)

※出典/国立成育医療研究センター

人工授精による累積の妊娠率は、はじめは回数を重ねただけ上がりますが、一定の回数で変化がなくなります。
40歳未満の場合、7回目で累積妊娠率は約27%となり、それ以降はほぼ一定となり、治療してもさらに妊娠する確率はかなり低くなります。
40歳以上の場合は、なだらかに上昇しますが、20%にとどまります。つまり回数を重ねても確率は大きく変わらないことを示しています。

早く産んだほうがいい、という理由のひとつにはお金も関係します。

若ければ治療の必要なく妊娠できるかもしれないけれど、年齢が上がると高度な医療が必要となりお金がかかるのです。

妊活のゴールは妊娠ではありません。授かった子どもが20歳になるとき、自分は何歳になりますか? たとえば32歳で出産したら子どもが成人するのは自分が52歳のとき。でも40歳で授かったら子どもが成人するときに60歳です。そのイメージをもって、妊活は1日でも早くスタートしたいものです。

■監修

齊藤英和 先生

■イラスト/德丸ゆう
■取材・文/関川香織(K2U)

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

※この記事は2021年8月時点の情報です。2022年4月からの不妊治療保険適用については、以下の関連記事をご覧ください。

▼『妊活たまごクラブ2022-2023年版』は、妊活に役立つ情報が一冊に詰まった妊活スタートブック

■おすすめ記事
不妊理由の約50%は男性側の問題?! ここ数年で風向きが変わった!男性不妊の今【専門家】
排卵日を計算!妊活・妊娠カレンダー【医師監修】

この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


公式サイトはコチラ


この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ルナルナの最新情報をお届けします