2022年4月スタート!初心者にもよくわかる“不妊治療の保険適用”

※写真はイメージです
Image Source/gettyimages


2022年4月から不妊治療の保険適用がスタート。これまでとは何がどう変わったのか? どんな支援が受けられて、どんなことに注意すればいいのか?
今から治療を始める初心者さんにもわかりやすく解説します。

監修の先生

2022年は保険適用化元年!いくらかかるの?「不妊治療の保険適用、初心者にもよくわかる解説」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」

 

何が変わったの? 不妊治療の「これまで」と「これから」

2021年の出生数は過去最少の約81万人(※)と、晩婚化・少子化が加速している日本社会。子どもが欲しいと思ってもなかなか授からず、不妊治療を受けるカップルも少なくありませんが、これまでは初期検査や原因疾患の治療以外は公的医療保険が適用されない「自費診療」であったため、高額な治療費が不妊治療の高い壁となっていました。費用の問題から子どもを持つことをあきらめてしまう人たちがいれば、少子化はさらに進んでしまう…。こうした事態を改善するべく、2022年4月から不妊治療が保険適用となりました。

※厚生労働省「令和3(2021)年 人口動態統計(概数)」

不妊治療のハードルになっていた治療費の負担が軽減

保険適用化によって、これまで全額自己負担だった人工授精や体外受精・顕微授精の治療費が3割負担に軽減。さらに、タイムラプスやSEET法などのオプションは保険適用外であるものの、「先進医療」として保険診療と併用できるものもあります。

このように保険適用による恩恵は大きいものの、治療や年齢に制限がかかるケースがあるなど、今後、検討や改善が必要とされる課題も浮かび上がりつつあります。不妊治療の保険適用はスタートしたばかり。年齢や経済状況にかかわらず、「子どもが欲しい」2人が納得して治療を進めることができるよう、今後に期待したいところです。

2022年3月31日までは……

●保険適用・・・不妊原因の検査、原因疾患の治療、タイミング法
保険が適用されるのは検査と原因疾患の治療、タイミング法のみでした。検査は血液・ホルモン検査、超音波検査、精液検査など。原因の治療は、女性では排卵障害や卵管障害、子宮内膜症など、男性では造精機能障害や精管閉塞などに対して行われる手術や薬物療法です。

●保険適用外・・・人工授精、体外受精・顕微授精、男性不妊の治療(MD-TESEなど)
人工授精や体外受精などの高度生殖医療は自費診療とされ、保険の対象ではありませんでした。国の調査(※)によると、自費診療での人工授精は1回あたり平均約3万円、体外受精は1回あたり平均約50万円で、高額な治療費がネックとなり、治療をためらう人も……。

●特定不妊治療費助成・・・
不妊治療の経済的負担を軽減するため、2004年に始まったのが「特定不妊治療費助成制度」。体外受精・顕微授精を行った場合、1回30万円の助成を受けることができました(1子あたり、女性の年齢が40歳未満の場合は6回まで、40歳以上43歳未満の場合は3回まで)。

※厚生労働省「不妊治療の実態に関する調査研究」

\2022年4月1日からは!/ 窓口にて3割負担で多くの不妊治療が受けられるようになりました!

初期検査、タイミング法に加えて、人工授精、体外受精・顕微授精にも保険が適用されるように。

2022年4月からは人工授精などの一般不妊治療、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療についても保険が適用されることになりました。これにより、治療費は原則3割負担に。例えば体外受精で50万円かかった場合でも、実際の支払い額は15万円となります。今まで費用面であきらめていた治療にトライする機会が得られる人も多いはず。

●一般不妊治療・・・タイミング法、人工授精

●生殖補助医療・・・採卵、採精、体外受精・顕微授精、胚培養、胚移植

保険適用になって「よかった」こと

保険適用になったメリットを、ご紹介します。

【よかったこと・1】お金の負担が軽くなり治療の選択肢が増える!

これまで全額自己負担だった治療費が原則3割負担となったことで、経済的負担が軽減。体外受精や顕微授精へのステップアップなど、治療の選択肢も広がります。

【よかったこと・2】治療にかかるお金が「見える化」

保険適用で治療を受ける場合は、全国どのクリニックで受診しても同料金に。かかる費用がわかりやすくなったことで、お金の不安からくる精神的負担も減ることに。

【よかったこと・3】治療の内容が標準化された

保険適用化により、治療の方法や進め方が標準化されました。年齢や回数の制限など課題はあるものの、一定の基準ができたことで不妊治療を始めやすくなった!

【よかったこと・4】「高額療養費制度」も利用できる

病院の窓口で支払った医療費が1ヶ月あたりの上限額を上回った場合、上限額を超えた分の医療費が返金支給される制度。上限額は所得に応じて決められています。

■監修/京野廣一 先生

●撮影/土田 凌
●構成・文/本木頼子
●取材協力/河合 蘭

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

 

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

■おすすめ記事
不妊治療でよく使われる「妊活用語」を50音順に解説・な行~ら行
排卵日を計算!妊活・妊娠カレンダー【医師監修】

この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


公式サイトはコチラ


この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ルナルナの最新情報をお届けします