2022年4月から保険適用になった「男性不妊治療」メニューって?「男性不妊専門外来」をルポ!

不妊治療で、男性の診察はベッドに座って行う程度。実際の様子を、永尾光一先生に再現してもらいました。

不妊の原因の半分は男性にあるからこそ、妊活はパートナー頼みではなく自ら調べ、実行することが大切です。
これから不妊治療を始める人に向け、男性不妊専門の永尾光一先生に詳しく教えていただきました!

いざ病院へと思っても、初めての場所は不安。
そんな未知の世界、男性不妊専門外来を取材!具体的にどんな検査や診察をするのか、順を追ってナビゲートします。

監修の先生

2人で読むはじめての「男性不妊治療」 #3
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」

【男性は何を調べるの?】男性不妊 基本の検査

女性に比べて男性の不妊検査は難しくはありません。1日あれば検査できるので、スケジューリングしやすい!

一般的な不妊治療クリニックでも実施しているのは【精液検査】

男性不妊の原因で最も多いのが、精子がつくれない、精子量が少ない、活発な精子がないといった精子にまつわること。最初に男性側の原因を見つけるため、採取した精液から精子の状態を検査します。

より詳しく診察してもらうなら男性不妊外来で精密検査を

男性向けの検査設備が整った男性不妊専門外来なら、よりしっかり調べられます。

(1)血液・ホルモン検査
精子の形成には、脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)、精巣で分泌されるテストステロン(男性ホルモン)が関係します。ホルモン値が低下していないか血液検査で調べます。

(2)視診・触診
男性器を視診・触診して精索静脈瘤などがないか調べ、生殖機能に問題がないか検査。

(3)超音波検査
視診・触診で調べきれない精巣の様子を超音波で検査。精索静脈瘤の有無などを調べます。

2022年4月から保険適用になった男性不妊治療メニューって?

2022年4月から不妊治療が保険適用開始となりました。基本の検査のほか男性不妊治療に関しては、今回から無精子症を対象にした採血、精巣内精子採取術(TESE)に加え、一部医薬品も保険適用となりました。
勃起不全の男性に処方するバイアグラとシアリス、造精機能改善を目的にしたクロミッドと、主にタイミング法を試みている男性に向けた医薬品です。不妊治療で保険を適用してもらうには、パートナーと一緒に初診を受ける必要がありますが、男性不妊治療に関しても同様です。

【男性不妊専門外来・Q1】男性は何科を受診するの?

内診台に乗ることが多い女性と違って、男性の診察はベッドに座って行う程度。実際の様子を永尾光一先生に再現してもらいました。
内診台に乗ることが多い女性と違って、男性の診察はベッドに座って行う程度。実際の様子を永尾光一先生に再現してもらいました。

【A】泌尿器科や男性不妊相談をしている不妊治療クリニックへ
まず選択肢に浮かぶのは一般の不妊治療クリニック。ここでも男性機能の基本的な検査はしてくれます。ただし、より詳しく調べたいなら、泌尿器科や男性不妊専門機関も視野に入れて。さらに婦人科と泌尿器科がそろうリプロダクションセンターを持つ大学病院もありますので、パートナーと相談のうえ、決めるのがいいでしょう。

エコーでしっかり検査!

精巣内部など、視診・触診ができない部分は超音波で検査。受診者も目で見えるので安心感があります。

精巣内部など、視診・触診ができない部分は超音波で検査。
受診者も目で見えるので安心感があります。

これで調べるものは?

これは精巣の大きさを測るオーキドメーター。正常な成人男性の精巣容量は15~20mlと言われています。

これは精巣の大きさを測るオーキドメーター。
正常な成人男性の精巣容量は15~20mlと言われています。

【男性不妊専門外来・Q2】どんな診療をするの?

【A】精液検査、エコー検査などを行います
一般の不妊治療クリニックでも行う精液検査がファーストステップ。精液検査の結果が好ましくない場合は、泌尿器科や男性不妊専門機関で血液・ホルモン検査や視診・触診、超音波検査、詳しい問診などを行うことが望ましいです。精液検査だけでは発見できなかった不妊原因が見つかるかもしれません。

<いい精子の基準とは?>精液検査の基準値

※2021年のWHOの精液検査の基準値

※2021年のWHOの精液検査の基準値

【男性不妊専門外来・Q3】精液はどこで採取するの?

院内にはプライバシーに配慮した採精室(メンズルーム)があり、マスターベーションを助けるビデオなどが用意されています。
院内にはプライバシーに配慮した採精室(メンズルーム)があり、マスターベーションを助けるビデオなどが用意されています。

【A】採精室のあるクリニックも!自宅でも可能です
精液検査でも、そして人工授精や体外受精でも自分で精液を採取して提出する必要があります。採精から時間をおかなくてもすむよう院内で採精するか、自宅で採精して早めにクリニックに持っていくか、どちらかの方法を選びます。

■監修

永尾光一 先生

●撮影/合田和弘
●イラスト/山本啓太
●構成・文/津島千佳

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


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