不妊治療のスタートは「カップルで話し合う」ことから。何を話す?気持ちのバランスは?

イラスト/岡田丈(vision track)

不妊治療をスタートしよう!と思っても、どこへ行ったらいいのか、悩みますね。
クリニックの選び方と心得として知っておくべきことを、妊活コーチの松本亜樹子さんに最新情報とともにアドバイスしてもらいました。
今回は“心の準備”編として、「カップルで話し合う」ことについてご紹介します。

監修の先生

「はじめの一歩を踏み出す2人のための 不妊治療クリニック 選び方&心の準備ガイド」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」

 

まずはカップルで将来のことや家族についてたくさん対話して!

★2人の気持ちのバランスを確かめよう
不妊治療は、2人でよく話し合うことがとても大切です。時間やお金のことを含めて、治療をどこまで続けるかということを、よく話し合ってください。
男性不妊についての情報もずいぶん浸透してきたので、女性ばかりが悩む問題ではなくなりつつあるかもしれません。それでも、女性か男性どちらかが赤ちゃんを欲しいと強く思い、どちらかの気持ちが追いつかないこともあります。2人の関係が良好で、気持ちのバランスがとれていることが不妊治療には必要です。

●男性が協力してくれない

男性のほうが消極的で、治療に協力してくれない場合は、なぜ男性も検査や治療が必要なのかを話して論理的に説明してみましょう。
また、「あなたも一緒に通わないと、ダメなんだって」と、やさしくお願いしてみてください。女性が頑張る姿を見て、男性の考え方や行動が変わった、というケースもたくさんあります。

●男性のほうが積極的

男性のほうが赤ちゃんを切望していて、女性が乗り気でないパターンもあります。
不妊治療はどうしても体力的・時間的に女性に負荷がかかるものですが、疲れたから休みたいと思っても、男性が許してくれないという極端な場合も。
とにかくどちらか1人の思いだけでなく、2人でよく話し合うことを大切にしてください。

治療のスタートは、時間もお金もそんなにかからない!

不妊治療のスタートは、保険適用によってそんなに多額のお金がかかることはなくなりました。とりあえずは検査だけ受けてみることから始めてみよう、でいいのです。
不妊治療はノンストップのジェットコースターではありません。治療が始まってからでも、少し立ち止まって考えることもできるし、休むこともできます。
1人で抱え込まないためにも、必要なのはやはり2人の対話なのです。

「病人」になってしまう?そうではありません

不妊治療のためクリニックに通院し始めると、「私は不妊治療患者なんだ……」と自覚させられ、自分のアイデンティティー(存在そのもの)が揺らぐように感じるかもしれません。
でも、違います。あなたもパートナーもそのまま変わりません。自分たちの心と体に向き合う大事な時間だと考えてください。

ためらっている原因は、ひっくり返せば選ぶポイントになる

不妊治療は、はじめの一歩を1日も早く踏み出すことが大事とわかっても、クリニックに行くことをためらってしまう場合は、その原因の解像度を上げてみましょう。
気持ちを引き止めている原因をひとつひとつ挙げてみて、その逆をイメージすることがためらいを払拭することにつながります。それはそのまま、どういうクリニックを選べばいいのかということにもなります。

●「通うのがめんどう」→自宅や職場から通いやすい場所

不妊治療クリニックは長く通うことになる場所です。数回の通院なら、多少の通いにくさを感じても、気合いで受診できるかもしれませんが、長く通うためには物理的な通いやすさは非常に大切。
自宅に近い、通勤経路の途中にある、よく看板を見かけるなど、地理的にも心理的にも近いことが、通いやすい場所の条件です。

●「忙しくなりそう」→診療時間が自分に合う

通院するということは、今の日々のルーティンのなかに新たな時間を割くということ。この曜日・時間帯なら時間がつくれそうと思っても、そこが休診日に当たる場合もあります。
最近は朝や夜間、週末に受診できるところも増えているので、自分の生活サイクルと診療時間が合うところを探してみるといいでしょう。

●「お金がかかりそう」→保険適用でスタート時は一律化

保険適用になることで治療スタート時の費用は抑えられますが、治療が進んでいくと保険が利かない治療や薬が必要になることもあります。
とはいえ、最初からいきなり高度な医療を受けるわけではありません。徐々に費用が重荷になるなら、そこでまた2人で話し合って方針を決めていけば大丈夫です。

●「なんだかこわい…」→雰囲気で選んでOK

いくら実績重視といっても、何回も通う場所だからこそ雰囲気を優先にして選ぶことも大切です。不妊治療はチーム医療。医師、看護師だけでなく、胚培養士、カウンセラーなどがチームで治療にあたります。
だから、ドクターに心理的サポートまで求めなくてもいいのです。
また、受付スタッフの印象も大事なポイントです。

●「恥ずかしい、人に言えない」→仲間はたくさんいます!

不妊治療は、夫婦5.5組に1組(※)が経験し、夫婦の3組に1組が不妊かな?と悩んだことがあるというくらい、今や特別なことではないのです。
まわりにはいなさそうと思っても、こちらから打ち明けたら「実は私も」ということもあります。自分だけじゃない、ということを覚えておいてください。

※国立社会保障人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(2015年6月)による

■監修

松本亜樹子 さん

■イラスト/岡田丈(vision track)
■構成・文/関川香織

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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この記事のキュレーター

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