豪田トモ「ママのためにパパがやるべきこととは!?」 〜命と家族について考えよう Vol.5〜

「子どもは親を選んで生まれてくる」という胎内記憶をモチーフに、4組の夫婦の物語を通して「自分たちが生まれてきた意味」や「家族の絆」「命の大切さ」「人とのつながり」を考えさせられるドキュメンタリー映画『うまれる』。シリーズ2作目『ずっと、いっしょ。』に続き、3作目に向けて動き出した豪田トモ監督は、現在、保育園に通う娘の育児に積極的に関わっている。

そんな豪田監督に、ご自身の出産・育児経験も含めて、「命」や「家族」について語っていただきました。 第5回目となる今回は、多くのママがパパにやって欲しいと思っていることについて、豪田監督ならではの視点で語っていただきました。

 

ママが、パパに本当にやって欲しいことは3つある

男が育児をするとなったら、いろいろあります。「オムツを替える」とか、「お風呂に入れる」、「食事を食べさせる」、「抱っこをする」などなど……。

もちろん、こういった育児をパパがやるのは大切なことですが、これだけやっていても、悲しいかな、、、ママには評価されないという現実があると思います。

このあたりが、夫婦間で大きなギャップが生まれてしまう大きなポイントなのではないかと、僕は考えています。パパが、そこにばかり目がいっていると、「オレ、これとこれ、やってんじゃん!」となってしまうのです。

ところが、実は、ママはそういったことはあまり求めていないのではないかと思います。

オムツ交換をしたり、食事を食べさせたり、といったことよりも、本当にママたちが求めているのは、次の3つなのではないかと思っています。

 

1:ひとつ目は、「なるべく一緒に居て欲しい」ということ。 夫にそばにいて欲しいという意味です。それは、何か頼みたいことがあった時、あるいは、話を聞いて欲しい時、泣きやまない赤ちゃんを抱っこして欲しい時、などなど。とにかく、何かあったときに、そばに夫がいてくれて、サポートしてくれるということが、とても大事だと思います。

2:ふたつ目は、「愛情表現をして欲しい」ということ。 あるいは、感謝の気持ちを伝えて欲しいということ。「愛しているよ」とか、「好きだよ」とか、「いつも、ありがとう」、「頑張ってるね」、「苦労をかけてごめんね」などなど。こういった気持ちを常に伝えてもらわないと、自分ひとりが常に育児に関して背負わされているような孤独感に陥ってしまいます。

3:最後の3つ目が、「話を聞いて欲しい」です。 特に、専業主婦のママの場合、いくらママ友をたくさん作ったとしても、やっぱり、パパに日々の育児のことを聞いて欲しいのです。「今日はこういうことがあったよ」とか、「今日は、初めてこんなことができたよ」とか。そういうことをママはパパに報告して、一緒に喜んだり、心配して欲しいのです。寡黙な女性というのは、なかなか聞きませんよね(^^;。

 

女性というのは、「会話をすることによって生きている生き物」だと言っても、過言ではありません。そんなママたちの話を、しっかりと聞いてあげるということは、ものすごく大事なことだと、僕は思います。 以上の3つをバランス良くやれるようになると、ママからの批判も少なくなって、逆に感謝してもらえるようになるのではないかと、僕は思っています。

 

素直に想いを伝えないのは、あまりにリスクが高すぎる

ここに挙げた3つのことは、いろんな育児中のママたちから話を聞いてわかった僕の結論です。

「夫は一切、家事や育児は手伝ってくれないけれども、話をちゃんと聞いてくれるから、とても助かっている」といった声は、意外に多いんですよね。

「ゴミ出しとかもほとんどやってくれないんだけれど、私のことをすごく大事にしてくれている」から、それだけでいいと言うママも、ものすごく多いのです。

逆に言えば、「オレ、けっこう家事も育児もやってるのに、妻から評価されないんだよな」と、不満に思ってボヤくパパもいると思います。そういうパパは、たぶん、この3つをちゃんとやっていないということがほとんどなのではないでしょうか!?

特に2つ目の愛情表現だとか、感謝の気持ちを伝えるという部分は、日本人はちょっと苦手なところがありますよね(笑)。でも、別に「愛しているよ」などと言えなくても、「ありがとう」や「ごめんね」を素直に伝えるだけで、ぜんぜん違ってくると思います。 この2つの言葉を伝えるだけなら、愛情表現が苦手だというパパでも、言えるようになるのではないでしょうか。

夫婦で育児をするというのは、夫婦の関係を見つめ直す、とてもいい機会だと、僕は思っています。ところが、そのいい機会を、ただ「恥ずかしい」ということだけで素直に想いを伝えないというのは、もったいないし、非常にリスクが高いと思うのです。

愛情表現や感謝の気持ちを伝えるメリットと、伝えないリスク。この両方を考えたときに、「恥ずかしい」というだけで、今後、30年、40年と長い期間、ほとんど言わずにいるということでは、あまりにもリスクが多き過ぎるのではないでしょうか。

場合によっては、それが原因で、どこかのタイミングで離婚に至るということもあるかもしれません。 しかも、もし、本当に離婚となった場合、パパはほぼ、親権を獲得することはできません。場合によっては、ママにヘソを曲げられてしまって、一切、わが子に会わせてもらえないといった事態になることもあるでしょう。

そんなリスクを考えると、僕は「恥ずかしいから」なんて言っている場合ではないんじゃないかと思います。それだけ、2つ目をしないリスクは、とても高いと思ったほうがいいでしょう。

男性というのは、不思議なもので、仕事となると、そのなかでリスクの評価などを常日頃からキッチリやっているのです。ところが、ナゼか、夫婦間のこととなると、リスク評価ができない。むしろ、やろうとしない人が、あまりにも多いんですよね(笑)。

このあたりのことに関するリスクの評価というのは、夫婦間のことだから、と甘えるのではなく、しっかりと考え直して、自分はどうすべきなのか考えて、行動を替えていったほうがいいのではないかと、思います。

 

外に向けた愛情表現が苦手な人は、受けとめる愛情表現をシッカリと

3つめの「話を聞いて欲しい」というのも、実は愛情表現の一部なんですよね。「ありがとう」だとか、「ごめんね」、「愛しているよ」と言うのは、外に向けた、エクスターナルと言いますか、アウトプット型の表現です。 逆に、「話を聞いて欲しい」というのは、相手を受けとめるだとか、受けとめるということ。あるいは、居場所を作ってあげるといったことでもあります。これは、内側に向けたインターナルなもの、インプット型の愛情表現であると言えると思います。

愛情表現と言うと、みなさん、「アイラブユー」と言うとか、エクスターナルなものを思い浮かべることが多いといもいますが、実は、この「話を聞く」といった、“受けとめる”愛情表現のほうが大事なのではないかと思うことがあります。

と言うのも、「あなたのことが好き」と、何度も言ってくれる人がいたとします。しかし、その人は一切、自分の話を聞いてくれなかったとしたら、どうでしょうか? たぶん、誰だって自分はその人から愛されているとは思えないですよね!?

それよりは、ほとんど「あなたのことが好き」と言ってくれなくても、自分の話をジックリ聞いてくれて、しかも、「そうだよね」と共感してくれるほうが、はるかに愛情を感じられるはずです。

ですから、2つ目の外側に向けた愛情表現がどうも苦手だ、という人は、とにかく3番目の受けとめる愛情表現をシッカリするように心がけるといいのではないでしょうか。

ひとつ目の「なるべく一緒にいて欲しい」というのは、ほとんどのパパが仕事もあるので、難しいというパパは圧倒的に多いことでしょう。そう考えると、これまでに挙げた3つをすべて完璧にやるというのは、難しいかもしれません。 だからこそ、この3つのなかの、どれかひとつだけでも、重点的にやってみることから始めることをおすすめします。

この記事のキュレーター

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映画監督・豪田トモ(ごうだ とも)。1973年東京都生まれ。6年間のサラリーマン生活を経て、29歳でカナダのバンクーバーにわたり、4年間長年の夢だった映画製作の修行をする。帰国後、フリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像などを制作。2010年、「命の原点」を見つめて家族の絆や生きることを考えるドキュメンタリー映画『うまれる』が公開され、2014年、同シリーズ2作目となる『ずっと、いっしょ』も公開された。著書に『うまれる かけがえのない、あなたへ』(PHP出版)、『えらんでうまれてきたよ』(二見書房)がある。現在、6歳になる娘の父。映画『うまれる』公式サイト(http://www.umareru.jp/)

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